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経済革命(3) 税金、銀行、高齢化

これまで、堂免信義さんの「経済革命」では、円を新しい国内専用の電子通貨キューに切り替え、その発行と流通を管理する公的なローカル銀行を設立し、流通するキューの滞留分に応じて一定比率の通貨税をかけ、おカネを腐らせることを見てきました。
これにより、社会の公器であるおカネの富裕層による退蔵や企業の社内留保を減らし回転率を上げるとともに、通貨に関して一種の鎖国状態にし、地産地消(国内生産&国内消費)の推進運動と併せてグローバル化の弊害を一定程度減らすことができることがわかったと思います。
今日はその他の疑問について議論していこうと思います。

--新しくおカネに通貨税がかかるわけですが、その他の税金もとなると、重税社会になりませんか?


ノンノン。反対に普通の勤め人などはかなり軽くなると思うよ。何しろ、大量の通貨を溜め込む人からビシバシ徴税するわけだから。
この「経済革命」では、税金は通貨税と相続税、間接税として小売売上税の計三本だけになり、従来の所得税や法人税は廃止されるんだ。これはすごいことだよ。しかも、通貨税も小売売上税も人手を介さず自動徴税できるから、事務は簡素化され税務署は暇になると思うよ(笑)。

--そんなに税の種類を減らして大丈夫なんですか?


堂免信義さんの試算ではそうらしい。詳しく知りたければ『脱・資本論』を読んで欲しいんだが、その前に相続税と小売売上税について補足すると、前に述べたように相続税は土地については課税せず、金融資産についてのみ課税することで土地の細切れ化を防ぐので、地球環境に優しい税制だと主張されているね。
間接税として消費税ではなく小売売上税とした理由は、消費税が製造・流通・小売の全過程で課税される煩雑なものであるのに対し、小売売上税は最終段階でのみ課税されるので、シンプルだし、税金分を下請けに転嫁するような問題もなくなると述べられています。

--消費税は所得の大小に関わりなく一律に課税するので、格差が拡大してよくないと聞いたことがありますが、売上税も同じようなものではありませんか?


良い指摘と思います。ボクも、間接税については所得の少ない人ほど負担が大きくなる、いわゆる「逆進性」があるので批判的ですが、堂免信義さんはそれを認めつつ、通貨税には富める者から貧しい者への再分配機能があるのでよしとする、と述べています。ちなみに、売上税は10%を想定しているそうです。

--わかりました。


さて、これだけで本当にいいのか。堂免信義さんの試算によると、2005年のGDPくらいを想定し、当時の各種比率を元に計算すると、想定される政府支出は183兆円、これを「経済革命」の新税制:通貨税(月あたり1%)、売上税(価格の10%)、保険料(健康保険料と高齢者の扶養・介護保険料で所得の10%)でまかなうと200兆円になるそうです。十分カバーできるというのが結論のようです。

--驚きました。計算上ではあるものの、こんなに余裕があるとは・・・。本当なんでしょうか?


都合の良い数字を拾ってきているのではないかという心配があるかもしれませんが、ボクは天才堂免信義さんのプライドを信じます。ごまかしてもどうせ後でバレるわけですから、都合の良い数字を拾うなどというそんなケチなことをする理由がないからです。

--ローカル銀行ができるとこれまでの民間銀行の仕事はどうなるのでしょうか?


これまでのような民間への融資はローカル銀行の信用創造だけになりますが、審査など実際の事務作業は民間銀行に委託されると考えられています。この場合、まずローカル銀行からゼロ利子で貸し付け資金のキューを調達し、それを年率0.5%以内の管理料付で融資します。

--じゃあ、民間はゼロ利子で借りられるわけじゃあないんだ。


残念ながら。でも微々たる率だと思います。

--民間銀行の収入はどうなりますか?


今述べた融資の管理料や、円・キュー交換手数料、そして個別口座の管理料が主な収入源となります。

--個別口座はローカル銀行に作るんではないんですか?


違います。民間銀行に委託するのは、これまで円用に利用されていた民間銀行の設備やソフト、ノウハウなどは、わずかな改変でそのまま活用できるからです。円・キュー交換も円を扱える民間銀行なら対応できます。
ただ、信用創造機能がローカル銀行に移るので、そこからあげられていた収益はなくなります。

--具体的には?


これまで民間銀行は国債を利用者の預金で買っていると思われてきましたが、実際にはそのおカネは政府が予算執行すると全額民間に流れ、それがまた民間銀行の預金となって復活しますね。
民間銀行には復活した預金と国債が手元に残り、国債を日銀に買って貰えばその分の現金とさらに利子相当分が新たに積み上がりますから、文字通りの倍返しです。銀行がやってることは数字を書き換えるというコストゼロの事務作業だけですから、濡れ手に粟とはこのことでしょうね。
「経済革命」後は、信用創造機能が剥奪されるので、こんなことはできなくなります。

--それが無くなれば、民間銀行の競争力はかなり落ちるでしょうね。


本来の正常な状態に戻ると言っても良いでしょうけどね。
銀行を始めとする金融が実体産業に対する絶対的な支配力を持っていたのは、その資金力だったわけですから、「経済革命」後はもう銀行から経営陣が送り込まれるようなことは大幅に減るでしょうね。

--年金はどうなるのでしょうか?


特に目新しい提案はなかったように思います。
しかし、年金崩壊を防ぐための方法をおカネの循環の観点から明らかにしています。それは、高齢者(引退世代)が使ったおカネが現役世代の収入として戻って来るなら、その全額を再び拠出すればこのサイクルはいつまでも回り続けるということです。
そのための条件は二つ、現役世代が自分らと引退世代の両方の需要を満たすだけの生産を行うことと、引退世代が消費を全て国内で行うことです。
前者は「自動化」後者は「地産地消」ということです。

--高齢者の需要と自動化とは結びつきません。介護ロボットとか、そういうことですか?


いやいや、自動化は主に企業や行政の事務作業などです。この「経済革命」方式だと、通貨の電子化により徴税や金融も劇的に自動化されるでしょうし、そうして浮いた労働力を回せばいいのです。
一人で二人分生産しなくてはならないのは大変ですが、自動化で半分になれば問題ないはずです。今はそれができる時代なのです。

--介護などの仕事は、なり手がなかなかいないと聞いています。


そうかもしれませんが、それは賃金がそれほど高くないからではないかな。
一般に、3K労働はなり手がいないと言われますが、それも賃金次第だとボクは思うよ。同時に、職業としてのステータスも上がる必要があるけれどね。

--引退したら地産地消というのは、具体的にはどんなイメージでしょうか。


引退したらハワイやスペイン、シンガポールなどで暮らしたいという高齢者を時々目にしますし、ボクの会社の先輩にもそういう方がいらっしゃいました。また、コロナで人気は落ちましたが、引退したら夫婦で地中海クルーズなども、よく話題になりましたが、こういうのはご法度ということです。
引退世代は現役世代の負担で生きるのですから、もらった年金は国内で消費しなくてはならないのは当然だな。

(続く)

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あとがき

個人的な体験ですが、堂免信義さんの『脱・資本論』の原稿に目を通した時の衝撃は忘れられません。 特に、円という日本国の通貨をキューなる電子通貨に切り替えることで、ゼロ利子無期限貸し出しを可能にし、国債の代わりにするという提案には震撼しました。 原稿に目を通したと申し上げましたが、実は当時私が友人と経営していたインディーズLLCでアマゾンでの電子出版のお手伝いをさせていただいたのです。 そして、私個人は二十数年前に電子マネーの仕事に従事していたのです。 何たる展開!と思いました。 当時、日銀では通貨を電子マネーにする検討を進めていて、私の会社が端末やシステム開発に関するフィージビリティスタディを行っており、私は技術担当の部長としてその仕事に関わっていました。 今手元にあるこの写真は、当時ロシアで講演をした時のもので、まだ若いです(笑)。 左の髭の紳士はロシア中央銀行の総裁です。 その隣の金髪のご婦人はロシア金融アカデミーの総裁で、なんと中央銀行の総裁より偉い人なんだそうです。 なにせ、ロシアの金融界で活躍する官僚は全員金融アカデミー出身者なので、彼女には頭が上がらないとか。 そんな偉い人と並んで講演した私ですが、何をしゃべったかというと、将来おカネはコンピュータの中の数字に置き換わり、決済は世界のどこにいても瞬時に終わるようになるということと、おカネがおカネであるためには絶対に複製できないよう頑丈なセキュリティで守られていなければならず、そのためには特別のチップに入れなくてはならない、と言うものでした。 こういう話はロシア人には大変関心があるのだそうで、かの国はソ連時代からウラル山地やシベリアなどに秘密軍事都市をこしらえていたけれど、そこで必要とするルーブル紙幣をトラックで運ぶのが大変なのだそうです。それが電子マネーになれば電話線で送れるわけですから、彼らが興味を持つのは当然でした。 当時はインターネットも遅く、今のようなブロックチェーン技術もなかったので、高セキュリティを追求すればICカードになるのは必然でした。 すべてをサーバーに置き、ネットでそこにアクセスするタイプの電子マネーを提案している研究者もいたことはいたのですが、ボクらは目もくれず、ICカードの端末や電話機の開発などを進めていました。 ところが、我が日本ではスイカなどの非接触型のICカードが急速に普及し始...