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使ってもカネは減らない、動くだけ(堂免信義)

堂免信義さんの経済の見方は、ある意味単純です。
言われてみれば、「そんなの当たり前でしょ」と思うのですが、初めて聞くと「え?」となります。
例えばこんな具合です。

使っても使ってもお金は無くならない
儲けの陰には必ず誰かの犠牲がある
借金すれば世の中は豊かになり、借金を返せば世の中は貧しくなる

--えー、そんな馬鹿な。


やっぱりそう反応しますか。
たしかに、これらは一見すると常識と真逆ですよね。

お金は使えば無くなるのが当然で、無くならないお金があるならぜひ欲しい!
儲かるのは運もあるけど自分が努力したからで、誰も犠牲になんかしていない!
借金はせずに済めばそれに越したことはなく、仮にしても返すのが当たり前!

そう反発する人が多いと思います。
でも、これらの”堂免節”は一人一人の経済(ふところ勘定)について言っているのではなく、社会全体の経済について言っているのです。

--わかりません。


じゃ、仮に世界がここにいる5人だけで成り立っているとして、初めは平等に各人が一万円ずつ持っているとしましょう。社会全体では五万円のお金があるわけです。
そして、皆んなそれぞれ何かを売り、またそれを買って生きて行くとします。
例えば君はお米、君はお肉、君は・・・。

--お酒!


ははは。酒がなくては生きていけない人もいるかもね。
とにかく、こんな風にしてお互いに何かを売ったり買ったりしながら生活していくと思ってください。

--ものじゃなくて、サービスでもいいですか。


サービス、結構ですよ。

--じゃあ、私は肩たたき屋さん!


ああ、ボクも昔、母の日にお母さんに「肩たたき券」なるものをプレゼントしたことがあったな。

--(笑)


さて、こんな風にして一年経ったとしましょう。
そうすると、ある人は手持ちのお金が一万円以上になっているかもしれないし、ある人は五千円くらいに減っているかもしれません。
でも社会全体としては、お金は相変わらず五万円のはずです。
わかりますか?

--うん、わかる。だって、何か買ってお金を払っても、そのお金は相手に渡るだけで消えて無くなるわけじゃないから。


その通り!
堂免さんの本には、まずそんなことが書かれています。
そしてここから始めに述べた「儲けの陰には必ず誰かの犠牲がある」という定理が導かれるんですが、これはわかるかな?

--おかしいと思います。お金を払うと自分の手持ちは減って相手のお金は増えるけど、それと引き換えにお米とかお肉がもらえるのだから、犠牲ではないと思います。


そうだね。ボクも犠牲という単語を使うのは良くないと思います。
ただ、結果としてお金が増えたり減ったりしているのを「儲け」と「犠牲」という単語で表現していると考えれば、言っている意味はわかりますよね。
大事なことは、全員がいくら努力しても全員が持ち金を増やすことはできないということで、これは努力の問題ではなく数学的事実だということです。
ここでちょっと脇道にそれるけれど、貧富の差の問題、どのくらい差があるか知っていますか?

--世界的な大富豪の資産がものすごい金額だというやつ・・・。


そう。正確には、トップ10人の資産の合計は世界のすべての個人が持っている資産の4割くらいだという、アレです。
たった10人で世界の富の半分近くを占めているって、すごくないですか?

--絶対やりすぎだと思う!


うん、ボクもそう思う。そして、この場合なら「犠牲」という表現も間違いではないと思うけど、皆んなはどうかな?

--ただ物を売ったり買ったりだけでは、こんなに差が開くはずがないと思います。よくわからないけれど・・・。


そうだね、何か別のカラクリがありそうだね。
とにかく、今日のところはここまでにしておきます。

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あとがき

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